Photog by Peter Vidani
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若い学生には、こういう話をするんですね。遠距離恋愛ということばがあると思うんですね。日本も狭くなりまして、飛行機とか新幹線で行きますから、あちこちに住んでいる人と若い人たちは恋愛すると思うんです。ところが、遠距離恋愛すると何が起こるだろうかという研究があるんですね。そしてこういう結論が出てます。国境ぐらい離れていますと、これはうまくいくだろう。ところが県境ぐらいは危ないといわれます。結論として、県境は危ないんです。

 例えば、岡山-大阪ぐらいの恋愛というのはつぶれやすい。ところが岡山-アメリカならば成立しやすい。 なぜかと言いますと、人間は、「なぜ会いたい人に会えないのか」「好きな人と一緒にいられないのか」と思うときはつらいですね。その気持ちの原因を探すんです。なぜ会えないのか探すんです。そのときの障害となっているものが、国ぐらい離れていれば、しょうがないと思えるんですよ。「もうしょうがないじゃないか。あの人のせいではない」とこうなんです。ポイントは、その人物のせいではなく、その物理的状況が私たちを会えなくしているんだからしょうがないと納得できる。

 ところが、大阪ぐらいになりますとね、始めはね、「お互いに同じような気持ちでいようね」なんて言っておきながら、だんだんと電話する回数が減ってきたり、あるいは会いに行っても会えなかったり、向こうから帰って来なかったりですね。そういうときというのは、会いたいなと思っても会えないということが起こり、なぜ会えないのかを推理すると、どうも相手の努力不足だということになってくるんですよ。「ちょっと電話してくれればいいのに。なぜ電話してくれないんだろう」「なぜ1時間ぐらいなのに私が会いたいと言っても帰って来てくれないんだろう」という気持ちから、そのときには状況を考えずに、その個人の方に原因を持って行ってしまう、「私に対する気持ちが冷めたに違いないだろう」と。それでうまく行かなくなってしまうケースがよくあるんです。

 というふうに、つまらない、本当は何もないそういった思い込みが、現実に別離、破談にするという現象を引き起こしてしまった例なんですけれども、その人の「来る、行かない」という行動が、その個人に原因を考えるか、あるいは状況に考えるかということによって大差が生じてしまう。実は、状況というものが重要な役割を果たしていたんですが、それを過小評価していた訳です。

 ですから、マインド・コントロールというのは、この社会心理学の基本にある考え方を逆手に利用していけばできるということになります。状況をうまく利用して、ある特定の状況を用意する訳です。それによってある行動を導き出すわけです。

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